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公営水道を求める熱き闘い、10のストーリー   3.222国連「世界水の日」に寄せて




2017年04月05日

水道の民営化が世界中、特に地球上の南地域において押し付けられ続けている一方、多くの地域で各自治体が民間業者を水道事業から撤退させ、上下水道の公営管理を要求している。

世界水の日に際し、この必要不可欠な資源―水―の管理を取り戻すために闘っている世界10都市の例を紹介します。

 

記事:ラヴィアナ・スタインフォート、サトコ・キシモト、デニス・バーク

編集:ベアトリス・マルティネス

企画:パブリックセクターオルタナティブ、ウォータージャスティス

 

 

①ナイジェリア、ラゴス

20172月、ラゴス州政府は、湖やその他の自然資源からの取水を違法とする法律を通過させた。予想通り、州は水危機にあるため、法律に対する反発は広範囲に及んだ。Environmental Right Action (Friends of the Earth Nigeria) の行政監督代表アキンボード・オルワンフェミは州の至るところで“Our water, Our right(私たちの水、私たちの権利) というこの法律に対する反対キャンペーンを行っており、水道の民営化、PPPと呼ばれる事業形態、反民営化など、あらゆる形態を拒否する姿勢だと話した。水に関する人権に関わる国連特別調査報告官、レオ・ヘラーは政府を厳しく批判した。国連ベースのCorporate Accountability International (国際共同責任委員会)は団結を示すため、国際的な請願書を発表している。

 

まとめ

州政府が湖などの自然資源からの取水を違法としたことに対し、市民らが反発。現地の団体が“Our water, Our right(私たちの水、私たちの権利) というこの法律に対する反対キャンペーンを行っており、国連関連の団体もこの反対運動に協力している。

 

②ブラジル、リオデジャネイロ

2017220日、リオデジャネイロ州政府は州の水道をCEDAE(Companhia Estadual de Aguas e Estagos) という会社に売却するという法律を通過させた。ブラジル連邦政府は、公営水道の売却は2016年オリンピックのためのインフラ整備にかかる支出を助けるためのリオ州への緊急貸付の条件であったと主張した。法律は連邦政府に11US億ドルの貸し付けをすることを可能としており、また政府への借金支払の一時停止が条件となっていた。27日、たくさんの人々が立法議会前で民営化提案に抗議した。

 

まとめ

リオデジャネイロは水道事業売却を決定する法律を通過させたが、この売却は、リオ市が2016年リオ五輪のインフラ整備にかかる費用を連邦政府に貸し付けてもらうための条件であり、借金支払の一時停止も条件となっていた。多くの市民が抗議の意を表している。

 

③スペイン、バルセロナ

バルセロナ市は一世紀に渡り、市の水道を運営してきた共同事業者であるAguas de Barcelonaに代わり、市営の水道事業を立ち上げることを決定した。スペインの他の多くの市や町でも民間業者の頑なな抵抗にも関わらず、水事業を再公営化しよう、しなければならないという動きが見られる。

 

④インドネシア、ジャカルタ

ジャカルタでの水道事業民営化は失敗に終わっている。ジャカルタの59%の市民が水道管を通した水にアクセスしているが、インフラ設備の44%に漏水があるという状態である。その結果、2015324日、ジャカルタ中央地区裁判所は市民訴訟に従い、民営化契約を無効とした。水道民営化はジャカルタ住民が訴えた“水に関する人権を満たすことを怠っている”と判断された。しかし、裁判所の決定は民間会社の訴えにより20163月に覆された。地域の運動家たちは闘い続けることを誓った。

 

まとめ

ジャカルタでの水道事業民営化は失敗に終わっている。大きな理由の一つは漏水を主としたインフラ設備の不備。裁判所は、民営水道は“水に関する人権を満たすことを怠っている”と民営化契約を無効としたが、その後民間会社の訴えにより判決は覆され、地域の運動家たちは闘い続けている。

 

⑤ポルトガル、マフラ

マフラ市当局はポルトガルで初めて上下水道を民営化した市である。2016129日、市はBe Water社との契約を終わらせることを満場一致で決定した。この決定は民間業者の30%の料金値上げ要求により採決された。発表によれば市はこの要求を受け入れがたいとしている。市は財政面、法律的にも調査した結果、市ですべてを運営する方が最大5%まで料金を値下げできるとわかった。

 

まとめ

マフラ市は民間業者の30%料金値上げ要求を受けて契約を終わらせることを決定した。市の調査によれば市ですべてを運営した場合、最大5%まで料金を値下げできるとしている。

 

⑥スペイン、ヴァリャドリッド

1997年、約40年の公営水道管理の後、ヴァリャドリッド市議会は多国籍企業スエズを親会社に持つAgualid-Aguas de Valladolid に水道事業運営を許可した。2016年、新しく選出された市議会は20177月に民間契約が切れる都市部の水道供給事業を再公営化することを決定した。この決定の鍵となったのは100Public Water Management Platform(PWMP) で、請願書キャンペーンやウェブサイトで議論の場を与えている団体だ。

 

まとめ

20177月に民間会社との契約が切れるのを受け、水道事業を再公営化することを決定した。鍵となったのは100Public Water Management Platform(PWMP)という団体の活動であった。

 

⑦スペイン、 テラッサ

201612月、テラッサ市議会は175年続いた民間運営から水道事業を公営化するための投票を行った。テラッサは21万人を超える、カタルーニャ地方で4番目に大きい都市だ。もし水道事業が公営化されれば、同じように公営化を切望する他の都市にとっての前例となり、各都市にとって大きな可能性となるだろう。現在の市と民間事業者の契約は630日まで延長され、そのため市は可能な限り移行内容を調整する時間が与えられた。限りなく拘束力のないやり方をとったにもかかわらず、テラッサでの議論は明らかに水道事業の再公営化へ向かっている。市議会議員の大多数が公式に直営での水道事業に賛成している。テラッサでの水の再公営化は年間365万ユーロの節約へつながると見られており、市議会はこの分をより低い水道料金設定とするか、水質や水の味、インフラ整備の改善に使うかなど選択の余地があるだろうとしている。

 

まとめ

テラッサでは175年の間民間に運営されていた水道事業だが、市議会での投票を経て再公営化へ向かっている。再公営化により年間365万ユーロの節約が見込まれ、この分は水道料金を値下げするか、水質やイフンラ設備の改善に使うか選択の余地があるとしている。

 

 

⑧アメリカ、モンタナ州ミズーラ

モンタナ州ミズーラ市は20168月、公共資源の自治体による管理を勝ち取った。州の最高裁判所は、市が市独自の水道システムを管理することは民間会社による管理よりも必要とされる、という判決を下した。市は水道供給の管理について、コストも時間もかかる法廷での争いに巻き込まれていた。“市は住民に水を供給するシステムを市の管理にしたいと切望している。理由として、市職員は自治体の水供給システムが市によって所有・管理されることが市民とって一番の財産となると信じているからだ”と裁判官はその決定に記していた。

 

まとめ

ミズーラ市は公共資源(水道供給システム)の管理を勝ち取った。最高裁判所は市による水道システムの管理が必要とされると判決を下した。裁判官は“市は住民に水を供給するシステムを市の管理にしたいと切望している。理由として、市職員は自治体の水供給システムが市によって所有・管理されることが市民とって一番の財産となると信じているからだ”と記している。

 

⑨アメリカ、カリフォルニア州アップルヴァレー

カリフォルニア州の中央に位置するアップルヴァレー町議会は2014年から町の水供給システム―アップルヴァレーランチョス(AVR)―を取り戻そうと決意していた。度を超した料金の値上がりが原因だ。市議会は、アップルヴァレー市民に信頼できる地元資源の水を供給するために水道事業を再生する必要があることをウェブサイトで説明している。市議会は利用できるすべての議会報告、会計監査報告、弁護士費用や市民からの要望記録についてのファクトシート(詳細を記したもの)、最新ニュースなどを利用して議論を呼び起こした。その結果、市民の73%が、町が水道運営の権利を獲得することを支持するという調査結果が出た。市民の意見を無視してAVRは市議会の水事業を買い取るという申し出を拒否した。その直後、20161月、AVRLiberty Utilitiesというカナダを地盤とするAlgonquin Power & Utilities Corp. の子会社に買収された。それに応じ、市は市民の関心に基づいた土地収用措置(強制的な意味を含む)に賛同し、民間の水道事業者と公共事業を買い取り、事業を再公営化するための公式的な見解を発表した。土地収用措置は数年かかると予想されている。

 

まとめ

アップルヴァレー市議会は様々な資料、報告を使って市民に水道事業を再生する必要性を訴え、議論を呼び起こし、水供給システムを取り戻そうとしている。市民の意見を踏まえつつ土地収用措置に市議会も賛同しているが、実行されるには数年かかると予想されている。

 

⑩インド、カルナータカ州、マイソール

マイソールでは2008年に公益事業であるMysore City Corporation(MCC) と民間事業者Jamshedpur Utilities and Services Company(JUSCO) との間でpublic-private partnership(PPP) を設立した。プライベートパートナーであるJUSCOは、資本支出、バルク水供給と契約が会社の管理下にあるうちは、水供給の改善、維持、運営、修復を引き受けることを約束している。公的母体とJUSCOからの計画に対する全資金は事業管理と水道料金からの収入のみとなっている。 6年の計画は2015年には完了すると言われていたが、水道管配置の拡大や、メーター、家庭への水道の接続など契約上の義務を果たせないでいる。民間会社はその質の低いサービス提供のため、住民や市民団体、市議会員や市の権威などからの反対に直面し続けている。民間会社は20151月にこの計画を達成するために6か月間の延長を許可されたが、その後、水道システムはマイソール市に取り戻されると予想された。インドの他の都市においても民営化やPPPに対する苦しい闘いが繰り広げられている。

 

まとめ

マイソールではPPPを設立したものの、契約した事業計画や事業義務を達成することができず、その質の低いサービスのため住民などから反発されている。契約の延長などで水道システムは市に戻ると予想されていたが、まだされていない(?と読み取りました)。インドの他都市でも民営化やPPPに対する苦しい闘いが繰り広げられている。

 

A note(メモ):スペインの記事がこのリストを代表しているように見えるとすれば、この公共事業の管理の変化において草の根運動が主導しているからです。すなわち、この変化はより民主的な管理と人が中心の解決策を約束していると言える。

 

(仮訳:水情報センター)