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【世界の水情報】 バルセロナ市議会: 再公営化に向けた大きな一歩

2017年02月22日

                        TNI(トランスナショナル研究所) 岸本 聡子
現市議会の第一党であるバルセロナコモンズが2016年11月25日、民営化された水道サービスを市に戻す動議を提出し、動議は賛成多数で可決された。これは市議会で民営化水道サービスを終わらせる最初で初の動議となった。バルセロナコモンズは水は人権、基本的なニーズであり、公共財として、公的な民主的管理のもとに置かれるべきだとして、水道再公営化を選挙の公約に掲げたのだ。
2015年の地方選挙が実施され、左派政党「ポデモス」と、ポデモスの支持を受けた地域政党が各地で躍進した。特に 首都マドリッドとカタロニア州都バルセロナでの左派連合の勝利は、経済危機後に100万人規模で広場に何度も集まった『怒れる者たち』の運動の力が選挙に反映されたとして世界的にも注目されている。現バルセロナ市長、アダ・クラウ氏は住宅ローンが払えなくなった家族の住宅強制退去を防ぐために尽力してきた反貧困活動家である。
バルセロナで長く水道民営化の問題と闘ってきた市民連合水は命(Platform Aigua és Vida)は選挙運動からバルセロナコモンズに積極的に関わり、市議会議員を選出しただけでなく、現在多くメンバーが水政策議論や立案に参画している。バルセロナコモンズは草の根・参加型民主主義を体現することで支持された全く新しいタイプの政党で、バルセロナ市民の意見を直接民主主義的に反映する革新的な手法を模索し続けている。水道再公営化は市行動計画の中でも最も市民の人気の高い政策の一つだ。
今回の動議の可決によって、バルセロナ市政府が再公営化に向けて動き出すことが可能になった。現在水道サービスはフランス水企業スエズの小会社であるアグバ(Agbar)が担っている。市民連合水は命のメンバーで市議会議員になったバディア氏は「透明性が高く、質の高いサービスを低価格で提供するために現在の状態を変える歴史的な一歩を踏み出した」と語った。
会計監査院のデータによるとカタロニア州で民営水道は公営水道より25%料金が高いという。バディア氏は再公営化によって企業報酬の2900万ユーロ (約35億円)、知識代とする支払いの970万ユーロ(約12億円)がなくなることで3870万ユーロ(約47億円)の節約が可能になり、この金額は10%の水道料金の値下げを可能にすると言う。「民間企業への不必要な支払いをやめることで、社会的に寛容できる水道料金を実現できる。民営化の下過去10年間で水道料金が85%値上がりした。経済危機下で多くの人が水道料金を払えず、カタロニア州で2014年は人口の1,6%にあたる12万人がサービスを停止された。このような状況は受け入れられない」と言う。バルセロナの民営化の歴史は長く、1867年より始まり前政権は2012年に35年の契約を更新した。長年の民営化を通じて既得権益化し、強大な経済力と政治的影響力を行使し続けるアグバを前に、再公営化の実現は長く複雑な闘いになるだろう。バルセロナコモンズは世界ではパリ、ベルリン、ナポリなどの都市、カタロニア内ではArenys de Munt や Montornès del Vallèsの再公営化の経験や教訓に学び、水を公共サービスとしてすべての市民に届けたいと意気込む。

バルセロナコモンズのコラル氏(中央)とバディア氏(左)