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【世界の水情報】公共の水を求める運動、スペインで大きく前進

2017年02月23日

15人の市長と市民が公共水道会議を開催

 

2016113−4日、スペインの首都マドリッドでスペイン各地の運動体をつなぐ公共の水ネットワーク(La Red Agua Pública)はマドリッド市議会との共催で「公共水道と自治体の役割会議」し、各都市の市長10人を含む300人以上が参加した。

水は基本的人権であり公共財であるという見地から、市議会議員、大学などの研究機関、市民団体、労働組合、公営水道事業体経営者団が集まった。この会議に、「公共の水を取り戻す国際ネットワークReclaiming Public Water」のメンバーも多く参加し、スペインの運動とヨーロッパ規模の「水と人権」キャンペーンやヨーロッパ水運動とをつなぐ役割を果たした。

 

スペインでは公営水道と民間水道がちょうど50%つづで拮抗しており、水道事業をどのように運営するは、熱い政治的な改題の一つである。民営化の歴史と経験が長い分、市民の対抗運動も広く強い。昨年の地方選挙で反緊縮財政を掲げ若者から支持される左派政党「ポデモス」の支持を受けた地域政党は、マドリッドとバルセロナだけでなく、サラゴザ、バレンシア、カディスでも躍進し、革新的な市長が誕生した。このような背景が市民、市長たち、市議会がいっしょに公共の水を守るための会議の開催を可能にした。参加者は2日に渡り、公共水道の回復、再公営化の可能性と挑戦、参加型で民主的な水道運営モデルの実施、水と人権(human rights to water)を実践する政策、このようなテーマを推進するにあたっての社会団体と市議会が協力するための戦略などを話し合った。会議の結果の一つとして、民主的な公営水道を推進する公共水道自治体ネットワークの設立が提案された。

 

スペイン公営上水道事業体連合(AEOPAS)事務局長のJaime Morell氏、パリ市水道 Eau de Paris議長Celia Blauel氏、マドリッド水道公社 Canal de Isabel II Gestiónのトップ、カタロニア州公営水道事業コンソーシアム、今年10月に再公営化を果たした都市 バリャドリッド(Valladolid)の市議などがパネルディスカッションに登壇した。民営化と社会的対抗運動のセッションでは民営化を阻止する市民運動が盛り上がっているアルカサル サン ファンやヘレス フロンテーラ の活動家が、再公営化運動がたけなわのテレッサ市の経験が話された。民主的なマネージメントモデルのセッションでは歴史的に良質で参加型の公営水道を誇るコルドバ市水道(EMACSA)のマネージャーとヨーロッパ公営水道事業体協会 Aqua Publica Europeaのメンバーが議論に加わった。メディア シドニア市はスペインでは最も早く再公営化を果たし(2003年)、水を含む複数の公共サービスを提供するMedina Globalを設立し注目を集めている。Medina Globalの代表がその経験を話した。フランス Grabels市の市長であり、モンペリエ首都圏上下水道サービスの代表でもあるRené Revol氏も応援に駆けつけた。モンペリでは再公営化後も市民が深く関与し、理事会に複数の市民代表、労働組合代表、専門家がメンバーの参加型経営を実践している。このように会議はスペインだけでなくヨーロッパ各地の専門家も加わった。

 

これに続き市長たちの討議パネルが行われた。パネルに参加したのはAda Colauバルセロナ市長、Inés Sabanésマドリッド市長代理、Joan Ribó べレンシア市長、 Pedro Santisteve サラゴサ市長、María Isabel Ambrosio コルドバ市長, Óscar Puenteバリャドリッド 市長, Xulio Ferreiro ア・コルーニャ市長, Jordi Ballartテレッサ市長, Martiño Noriega サンティアゴ・デ・コンポステーラ市長、Guillermo Hita アルガンダデルレイ市長, マドリッド自治体連合会長である。市長たちはそれぞれの自治体で水は人権であるという出発点から透明性が高く、参加型での公共水道を追求する戦略を語った。そしてその決意は「公共水道声明」として実を結んだ。

 

「私達は水とそのエコシステムは公共財であり、私的な利益を上げるために利用されてはならないと信じる。」と始まる声明はスペインにおける水道民営化の問題の深さと対立がうかがえる。「私達は利益を優先するのではなく、相互協力、環境的持続性、連帯、公正、民主的な管理といった価値を水道運営の中心に据え」「民営化を拒否し、公共水道を取り戻す各地での再公営化のプロセスを支援する」と宣言した。

 

スペインでは経済危機下で失業率は依然として高水準で、値上がりを続ける水道料金や電気料金の支払いが困難な「水貧困」「エネルギー貧困」家庭が増えている。民間のサービス供給企業はサービス停止を容赦なく行う一方で莫大な利益を上げ続けている。スペインでの草の根運動は自らが地方選挙に関わり、まったく新しいバルセロナコモンズに代表される政党や市長を生み出した。現在、その市長、市議会が連携を強め具体的な問題を解決しようとしている。

 

Mayors from the cities of Spain engaged with the first CITIES FOR PUBLIC WATER MEETING in Madrid, November 2016. / Photo credit La Red Agua Pública