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インドネシア最高裁、水道民営化停止の判決/ジャカルタの水の今後

2018年01月31日

トランスナショナル研究所・国際公務労連共同文書

 

201710月、インドネシア最高裁が水道民営化の停止と、人権としての水を保証するために公共水道を回復させることを命じた。私たちはこの判決を歓迎するとともに、移行が適切に行われるようにしっかりと監視していく必要がある。

1997年スハルト独裁政権の最後のプロジェクトであったジャカルタの水道民営化から20年。インドネシアの活動家や弁護士の仲間たちは、最高裁が水道民営化を違法と判決したことを伝えた。住民訴訟の最後の不服申し立ての結果である。

国際公務労連(PSI)事務局長ローザ・パバニーリは「民営化と闘ってきたジャカルタの組合や仲間たち、運動を根気強く支援してきた世界の仲間たちの勝利を祝福します。利益よりも人々を優先させ、水は人権であることをしっかりと位置付けたこの度の最高裁の判決をPSIは歓迎します。特に困難な裁判を何年も闘ったジャカルタの活動家を祝福したい。」と語った。

2017109日、インドネシア最高裁は水道サービスの民営化を不当とする判決をした。その評決の中で、民営化を終わらせることと、水道サービスを公益事業体の手に戻すことを州政府と中央政府に命じた。これによって2つの水道サービス民間企業(外国資本)との契約は無効となった。

最高裁は被告団(ジャカルタ州政府、インドネシア中央政府、水道サービスを請け負った2つの民間企業)に対して、ジャカルタ住民の水を得る権利を遂行しなかったとし、さらに水道サービスを民間企業の手に委ねることは違法であるとした。

最高裁は被告団に以下を命じた。

  1. 水道サービス民営化の政策を停止すること

  2. ジャカルタ公営水道事業体規制に則り、ジャカルタ公共水道を回復させること

  3. 経済的、社会的文化的権利に関する国際規約1112条(法令番号11/2005)と国連国際経済的、社会的及び文化的権利委員会一般声明(15/2002に規定されている水は人権である原則と価値に基づいてジャカルタの水道を運営すること。

この度の評決は住民訴訟の住民原告団の訴えである水道民営化のコンセッション契約を無効と再度認めることとなった。この裁判の発端は、ジャカルタ水道民営化に反対する住民連合(KMMSAJ)2012年に住民訴訟を申し立てて始まった。2015年、住民側はジャカルタ地方裁判所で勝訴した。この判決は民営化を違法とし終結させること、水道サービスを公営事業体に返還することを命じた。ところが、被告団は不服申し立てをし、ジャカルタ高等裁判所が地方裁判所の判決を覆したため、住民原告団はさらなる闘いを余儀なくされ、最後の不服申し立てに臨んだのだ。最終的に最高裁は住民の民営化無効要求を認めた。

貧しい人々の社会正義のために闘うことで知られるジャカルタ法律支援団体LBHのアリフ・マウラナ弁護士はKMMSAJとともに裁判を闘った。「この判決はジャカルタと世界の市民の水の権利を守る勝利です。インドネシア政府は速やかにジャカルタ水道民営化の完全な停止をしなければなりません。」と語った。

実は最高裁はすでに20174月に判決を出していたが、これが公にされたのは10月である。この6か月の間にジャカルタの水道サービスを担ってきた2つの外国資本の民間会社はすでにすべての株を売却していた。一つの会社の株はサリムグループの手に渡った。サリムグループは19967年に民営化を後押ししたスハルトの旧友の同族企業である。もう一つの企業はシンガポール証券取引所に名前を連ねる買収目的で作られたペーパーカンパニーの所有となった。誰が最終的な受益株主なのかは不明なままである。

民間企業がなぜ判決が公になる前にすでに株を売却したのか不透明であり、私たちは水道事業の公的機関への返還が透明性と説明責任を伴って行われることを求める。そして、民間企業がこれ以上不当な利益を上げないこと、負債をジャカルタ政府と市民に負わせないことを求め監視していく必要がある。外国資本の民間企業が国際投資家保護の仕組みを使って、国際紛争調停を起こすことを警戒しなくてはならない。このような国際紛争調停は最高裁の判決の実施を永久的に遅らせるだけでなく、納税者の多額の税金が、不必要な国際法廷費用に充てられてしまう。

PSIはすべての水道労働者が水道接続とサービスを必要とするジャカルタ住民を守るために連帯することを求める。

ローザ・パバニーリ事務局長は「最高裁が2つの民間水道企業のコンセッション契約を無効としたことを受けて、この企業の労働者の処遇がどうなるのかは重要な関心です。公正、公平な方法で労働者が水道事業を受け継ぐ公営事業体に移行できなくてはなりません。移行において労働者の不安を解消することが最優先課題の一つです。」「労働者や貧しい人々の声が意思決定に反映されるように私たちはコミュニティーとともに働きます。そして労働者の知恵、経験、やる気が適切に評価され、強い公共水道を再建する動力にしなければ、すべの人への水道接続と水の人権を実現することはできません。」と続けた。

TNIの代表フィヨナ・ドーブは「未来のジャカルタ水道の実現には時間と政治的な意志を必要とします。私たちは公営水道再建のためにジャカルタ政府の応援、支援を惜しみません。連帯に基づいた対等な者どうしの協力(peer to peer)によってジャカルタ市営水道事業社PAM Jayaが公営水道を再建できるように公公連携の道を探りましょう。」語った。

原文はhttps://www.tni.org/en/article/indonesian-supreme-court-terminates-water-privatization

 

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訳 岸本聡子 (トランスナショナル研究所)